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看護師プロジェクト健康教育「いのちキラキラ」保育士講習|神田淡路町保育園大きなおうち

東京都内に24の認可保育園と認定こども園を運営する社会福祉法人 東京児童協会では、看護師職員による「いのち、からだ、健康」をテーマにした健康教育「いのちキラキラプロジェクト」を開催しています。
今年10年目を迎える看護師プロジェクト「いのちキラキラ」。普段は、年長クラスの子どもたちに向けて開催されているため、他の学年を担当する職員が、「いのちキラキラ」に参加する機会がなかなかありませんでした。
10年目を迎えるということもあり、今回は職員に向けての講習会を開催。また、3つの園の園長による、「子どもたちの輝く生と性のために~わたしたちができること~」も同時開催されました。
10年目のプロジェクト「いのちキラキラ」
最初に、「いのちキラキラ」プロジェクトの発足者である『かさい発みらい行きほいくえん』の馬場与志子園長が、10年目を迎える「いのちキラキラ」の歩みについて話してくださいました。
都立病院や小児科での勤務を経て、東京児童協会に看護師として入所した馬場先生。このプロジェクトは、馬場先生の看護師人生の中でも、意味のある大きな仕事のひとつなんだそうです。
「今から10年前、いじめやひきこもり、10代のドラッグ使用などがニュースで取り上げられるのを見て、看護師として何かできるのではないかと考えたのが、この「いのちキラキラ」プロジェクトです。私にとってライフワークと言っていいほど、私自身がキラキラ輝きながらできている仕事です」(馬場先生)
2015年にスタートした「いのちキラキラ」は、開催毎にテーマが変わります。スタートから10年。第6弾までの各回のテーマと内容を、写真を見ながら振り返りました。
第1弾「いのちのはじまり」
生まれてくることの素晴らしさや命の尊さを感じることで、将来自分や他者の心身を大切に思い、互いを認め合う心を育む
第2弾「あたまのはなし」
頭の中の働きと重要性。いのちの大切さを知り実感すること。自分や他者を大切に思える心を養うこと
第3弾「いのちをまもる」
コロナ禍ということもあり、互いの命を守る。自分のいのちと同じように、おともだちも命を持っていることを知り体感する
第4弾「わたしのいのち、こころとからだをどうつかう」
自分のことが大好きで自分を大切に思う子持ちを育む
自分が嬉しくなる言葉や出来事を知り、自分を大切に思えるようになる
第5弾「プライベートゾーン~自分で守ろう心と身体~」
プライベートゾーンについて学び、自分や友だちは大切な存在であることを知る
第6弾「プライベートゾーン~自分で守ろう心と身体~」
自分のからだを知り、自分を守る力をつける
プライベートゾーンについて学び、自分の身体は自分のものであり自分の身体も気持ちも大切である事を学ぶ
毎回、テーマに合わせて使用する備品の多くは、看護師チームによって手作りされたものです。子どもたちが見てわかりやすい工夫が細部にされているのがわかりますね。
写真や絵本。また、子どもたちが興味を持つようなキャラクター作りにもこだわりが感じられます。とても手の込んだ、気持ちのこもったプロジェクトです。それでは、実際の内容を見て見ましょう。
プライベートゾーン~自分で守ろう心と身体~
この日は、東京児童協会で働く4人の看護師が、プライベートゾーンについての説明、劇、お話などをしてくれました。
フェルトで作られた体を身につけ、男の子、女の子のプライベートゾーンについて説明します。
その他にも、たろうくん、じろうくんが登場し、正しい着替えの仕方を教えてくれます。
次に登場するのは、ききちゃんとららちゃん。近所に住む顔なじみのおじさんからパンツの中身を写真に撮らせてほしいと頼まれます。ききとららちゃんは、どうするでしょうか? 実際に起こる可能性のある事例。子どもたちにとってインパクトのある内容ですが、もし、このような状況になったら! という対策を知れる大事な時間です。
劇を見た後は、プライベートゾーンを触られそうになったらどうしたらよいかということについて、選択式で答えていきます。いくつかの選択肢の中から、正解をみんなで考えることで、いざというときに行動できますよね。
プライベートゾーンを触られそうになったときの3つのお約束について、最後にみんなで大きな声で確認をいます。「大人に話す」「いや、やめて、ダメ!」「にげる、はなれる」。
具体的な事例を、劇などでわかりやすく見た後に、対策をしっかりみんなで考える時間がある「いのちキラキラ」。参加した先生たちも、真剣に聞いていました。
「参加型で知覚的に構成し、子どもたちが集中して楽しめる内容になるように工夫しています。これまでにのべ1,880名の子どもたちに「いのちキラキラ」に参加してもらいました。保護者からも、「こんな難しいテーマをわかりやすくみせてくださってありがとうございます」という声もいただいています。これからも、いのちキラキラの活動を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします」(看護師:山田先生)
子どもたちの輝く生と性のために
次に、「子どもたちの輝く未来のために私たちができる第1歩」というテーマで、『すみだ川のほとりに笑顔咲くほいくえん』菊地幹園長、『船堀中央保育園』池田園長、『たいとうこども園』石田園長の3名による対談も開催されました。(所属園は2025年3月現在)
令和6年6月に、「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」、こども性暴力防止法が公布されました。それに伴い、東京児童協会では、オンラインにて「子ども性暴力防止研修」を行いました。その研修の意義や、保育者としての心構えなどについてお話くださいました。
「私に限ってそんな変なことするわけない。自分がいる園に限ってそんな性暴力なんておこなわれないだろう。どこか性暴力ということに対して他人事のように感じている人は少なくありません。それは、性暴力って痴漢や盗撮のことという意識があるから。でも、「男の子でしょ? おちんちんついてるでしょ?」。そんな、日ごろ耳にするようなこの言葉も、性暴力になるわけです。とすると、他人事で考えていてはいけない。もっと、自分たちの言動を意識して、性暴力にあたらないかを考え保育に当たる必要があるのです」
「子どもがいやがっていなければ性暴力ではない。犯罪ではないから性暴力ではないという考えではなく、不適切保育、性暴力についての考えを深めたくて昨年の研修を行いました。「いのちキラキラ」は、子どもたちに意識を高めてもらう大事な時間。これも防止に対しての大事なアプローチのひとつです」(石田先生)
最後には、参加者した先生からもたくさんの感想が届きました。
「いのちキラキラの健康教育がはじまった10年前に入職しましたが、初めて参加することができました。プライベートゾーンについて、子どもたちに伝えていかなくてはいけないと感じました」
「3歳児クラスの担当をしているのですが、性に関しておもしろい時期でもあります。日々の保育で悩むこともあったけど、いのちキラキラの健康教育を見たことで子どもたちに話すことの参考になりました」
普段、なかなか集まることができない各園の先生たちが、一同に会して「いのちキラキラ」や子ども性暴力防止法についての話を聞く時間が持てたことは、東京児童協会にとっても有意義な時間をなりました。
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