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プロダブルダッチプレイヤー杉野賢悟さんインタビューVol.2 |スポーツプロジェクト

都内に24の保育園を運営している社会福祉法人 東京児童協会では、‟子どもたちに本物の経験を”という保育の一環で、一流のアスリートや元オリンピアン、世界大会出場選手などのトップアスリートの方による「スポーツプロジェクト」を実施しています。
アスリートの方に、実際に園にお越しいただき、子どもたちにスポーツの楽しみ方やルールなどを教えていただけるとても貴重な時間です。
前回に引き続き、今回も各園でダブルダッチをご指導くださった、プロダブルダッチプレイヤーの杉野賢悟さんのインタビューをしてみました!
前編はこちらから
プロダブルダッチプレイヤー杉野賢悟さんインタビュー|スポーツプロジェクト
いろんなことに興味がある子どもだった
――杉野さんの幼少期について教えてください。
いろんなことに興味があったので、将来の夢は1年に1回くらい変わっていました。食べるのが好きで、体もぽっちゃりしてたので、体型を活かすために「お相撲さんになりたい!」と思ったこともあったし、ラーメンが好きで「ラーメン屋さんになりたい」と思っていたこともあります。絵を描くのが好きだと思ったときには「画家になりたい」って思っていました。いろんなことに興味があって、いろんなことに挑戦するのが好きな子でした。
――いろんなことに興味を持つ杉野さんに対して、ご両親はどのような反応を?
お相撲さんになりたいって言ったときも、ラーメン屋になりたいと言ったときも、「やれ、やれ!」って言ってくれるような両親なんです。僕がやりたいと言ったことに否定的だったことって一度もなかったんじゃないかな。「これやっちゃダメ」「あれ、やっちゃダメ」って言われたことはないんです。本当に自由にさせてもらったなって思っています。
――ご両親に対して思うことはありますか?
僕は、夢を持つことって何かを生み出すエネルギーになると思っています。夢はいくつあってもいいし、いつ変わってもいいし、とにかく夢を持って、何かに興味を持つっていうことが大事なのかなと思います。それを、「いやいや、無理でしょう」と大人の意見でそれを否定するのはちょっと違うのかなって思うので、僕は、両親からやってもらったように、自分に子どもができたときには同じようにしようと思っています。
うちの父親と母親、ラブラブなんです
――両親からの愛を感じた瞬間というのはどんなときですか?
どれだけケンカしていても、朝練のときは起こしてくれて、夜遅くまで部活をやって返っても、ご飯を作って待ってくれていたり……。不機嫌な息子に対しても、そういうことをちゃんとやってくれてたことには、今すごく感謝しています。ありがたかったなとすごい思いますね。
――ご飯って、大事なんですね。
大事だと思います。ご飯があったかいと心もあったかくなるっていうか。終電で帰っても、母親が起きてきて、ごはんを温めてくれるんです。それで、僕が食べ終わるまで一緒に待ってくれるんですよ。「1人じゃない」ってことを感じさせてくれていたというか……。父親が海外で単身赴任をしていたので、多分、母親は家族の温かみみたいなのものをそういう形で伝えてくれていたのかなと思っています。
直接言うのは恥ずかしいですけど、ちゃんと大好きですし、本当、「いつもありがとう」って思ってますし、この母親なくして自分はなかったなって思ってます。
――杉野さんのご両親はどんなご両親ですか?
めちゃめちゃ仲が良いです。もちろん、けんかすることもありますけど、仲が良いことが当たり前というベースがあるので、僕、父親と母親がけんかしている夢を見ると絶対熱が出るんですよ(笑)。小さい時からずっとそうなんです。
――お父さんとお母さんが思いあってるっていうことを、子どもに照れずに表現してくれる中で育てるってすごい幸せなことですよね。
「うちの父親と母親、ラブラブだよ」って言える人って、あんまり多くはないですよね。僕は今でも、「うちの両親、すごいラブラブだよ」って当たり前に言えます。いつか自分も結婚をしたら、そういう夫婦になりたいし、子どもにもそう思ってもらえるようになりたいです。
――それが一番子どもが幸せに育つ環境ですよね。
ほんと、幸せを感じられるように育ててもらえたなって思ってます。
将来の相談をしたとき、親が言った一言
――このダブルダッチをプロとしてやっていくと決めた理由は?
プロとしてやっていこうとは思っていなくて、大学卒業後は就職するつもりでしました。ただ、ドイツに行くサーカスが、ダブルダッチで参加できるメンバーをオーディションで決めるという話を知り、受けてみることにしました。学生時代、本当に夢中でダブルダッチをやってきたので、それでお金を稼ぐというのはどういうことなのかを体験したいと思ったからです。8カ月間、サーカスのメンバーとして参加して、「今後は、趣味としてダブルダッチをやっていこう」と決意して就職の内定をいただいたタイミングで、「今度、シルク・ドゥ・ソレイユのオーディションがあるよ」と声をかけてもらって、受けてみたら合格したんです。
――内定ももらっていたんですね。
就職とダブルダッチ。どちらを選択するべきかすごく悩みました。両親にも相談したんですけど、「自分で選びなさい」と言われたんです。自分が父親だったら、安定してる方にって思うけど、「自分で選びなさい。自分の人生なんだから。ワクワクする方はどっちなの」って言われたんです。
その時に、シルク・ドゥ・ソレイユを選ばなかったら絶対に後悔すると思ったんです。 僕でも知ってるような有名なサーカス団体に参加できるというのは、誰にでもできることじゃないので。そして、その経験を人に伝えていくことが自分の役割なのかなと思いました。
そう決めたときに、ダブルダッチをプロとして続けようと決めたんです。
――自分で選びなさいと言えるご両親もすごいですよね。
「ワクワクする方を選びなさい」っていうアドバイスはすごいなと思います。両親に相談しましたけど、実はそこに答えは求めてないんですよね。ただ、一緒に寄り添ってほしかったというか。それに、すごく悩みましたけど、その悩む時間も大事だったなと、今はわかります。
だから僕も、後輩から相談を受けたときには、僕が答えを出すのではなく、寄り添うということを意識しています。人間って、1人だと不安じゃないですか。家族もそうだし、ダブルダッチのチームもそうだけど、近くにいるよ、安心してって言ってもらえる環境があるってすごく安心しますよね。
――最後になりますが、杉野さんの今後のビジョンや見ている方へのメッセージをお願いします。
僕は、両親から大きくてまっすぐな愛を受けて育ったなと思っています。そして、両親の寄り添いがあったからこそ、父親とは距離的には遠くにいたけど、「そばにいるよ」って感じられていたんだろうなと、今になると思います。
道から逸れた時には修正してくれる。それって、見てくれてないと修正できないんですよね。 近くで見てくれている安心感、寄り添ってくれている安心感。両親から受けた大きな愛だったなぁって思います。今度は、僕がなんかその愛を返していけたらなと思いますし、自分にこう家族が増えたときに、その愛を僕はまたこうつないでっていくんだろうなって思ってます。
こちらのインタビューは動画でもご覧いただけます。併せてぜひご覧ください。
■YouTubeインタビュー動画はこちら
https://youtu.be/bS6xuiPOewQ?si=8x7u_bQrJFEBH7H-