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東京児童協会コラム
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保育実習と就職をどう支える? 養成校と保育現場が語り合った学生支援の交流会レポート

本記事は、保育士を目指す学生のみなさんの実習や就職をどのように支えていくかをテーマに、養成校の方々と保育現場である東京児童協会の職員が対話を行った交流会のレポートです。
主に保育の仕事に関心のある方に向けた内容ですが、保護者の皆さまや地域の皆さまにも、私たちがどのような思いで保育者の育成や環境づくりに向き合っているのかを知っていただく機会になればと思います。
目次
養成校と保育現場が集い、学生支援について考える
「学生一人ひとりに合った就職先選びを、どうサポートできるだろうか?」
「実習後のモチベーションをどう支えていけばいいのだろう?」
未来の保育者を育てる学生たちを、私たちはどのように支えていくべきでしょうか。

学生を社会へ送り出す「養成校」と、学生を受け入れ、保育のプロへと育てていく「保育現場」。
どちらも学生の成長と幸せを願っていますが、これまで「学校のリアル」と「現場のリアル」を共有する機会は、決して多くありませんでした。
・学生がつまずいていることは何か
・学生が本当に求めている言葉やサポートとは何か
・保育に携わる大人が、一緒にできる支援の形とは何か
こうした問いを持ち寄り、保育に関わる大学・専門学校・短期大学の教職員の皆さんと、東京児童協会の園長、採用担当、人材育成に関わる職員が一つの場所に集まりました。
2026年2月2日に開催された本交流会は、保育士を目指す学生の入口から実習、そして就職までを、どのように支えていけるのかを対話を通して考える場として企画されたものです。
学生支援をテーマに開催された交流会
交流会の目的は、大きく二つあります。
① 養成校と保育現場が立場を越えて、学生支援のあり方を共に考えること
② 横のつながりをつくり、今後の具体的な連携の可能性を見つけること
当日の対話内容については、特定の学校名や個人名が外部に出ることはない前提とし、安心して率直な意見交換ができる場づくりが意識されました。

人材不足だけではない、保育現場の構造的な課題
保育士資格を持つ人の数と、実際に現場で働いている人の数のあいだには、まだ大きな差があると言われています。
その背景には、単なる人手不足だけではなく、働き続けやすい環境づくりや人材育成のあり方など、さまざまな要因が関係しているのではないかという声もありました。
また、園ごとの保育観や育成方針が学生に十分に伝わらないまま就職先を選ぶことになると、条件面での比較が中心になりやすく、就職後に「思っていた保育との違い」を感じることもあるようです。
そうした小さなギャップが、結果として早期離職につながることもあるのではないか、という意見も共有されました。
さらに、人材不足や現場の忙しさ、若手職員の定着の難しさは、それぞれ別々の問題というよりも、互いに影響し合いながら続いている側面があるのではないかという話題にもなりました。

想像以上に広がる、養成校と現場の連携の可能性
今回の交流会を通して、養成校同士、そして養成校と保育現場の間には、想像以上に多くの連携の可能性があることが見えてきました。

これまで各校・各園が個別に取り組んできた学生支援の中には、共有することでより効果的になる取り組みが多くあることがわかりました。
① 現場のリアルを伝える機会づくり
園の先生自身の言葉で、仕事のやりがいや大変さ、1日の流れなどを学生に直接伝える機会をつくることの大切さが話題に上がりました。
動画や座談会などを通して、文字だけでは伝わりにくい現場の雰囲気や価値観を共有することで、学生が保育の仕事をより具体的にイメージできるようになり、不安や誤解を和らげることにもつながるのではないか、という意見が出されました。
② 実習後の振り返りを支える連携
1回目の実習を経験した学生が、「その園だけが保育のすべてではない」という視点を持てるよう、養成校と現場が連携して振り返りの機会を設けることの重要性についても意見が交わされました。
実習を単に評価や判断の場として終えるのではなく、保育について考えを深めるきっかけとして支えていくことが大切ではないか、という声が共有されました。
③ 学生一人ひとりに合った園選び
就職先の紹介においても、条件面だけで園を選ぶのではなく、学生一人ひとりの価値観や不安、強みなどを踏まえた園選びを支えることの必要性が話題となりました。
そのためには、養成校と現場が学生の様子や考えを共有しながら関わっていくことが大切ではないか、という意見もありました。


対話を起点に、現場からできることを発信していく
本交流会は、課題の「答えを出す場」ではなく、対話をすることそのものを目的に開催しました。
東京児童協会として大切にしているのは、現場のリアルな声や取り組みを閉じたものにせず、業界全体にひらいていくことです。
学生や若手職員が抱える悩みの多くは、個人の努力だけでは解決できない構造的な課題に起因しています。
だからこそ、園での育成の工夫や現場のリアルを発信していくことが、私たち現場の重要な役割だと考えています。
課題を一校・一園で抱え込むのではなく、養成校と保育現場がフラットにつながり、共に考え続ける場をつくっていく。
東京児童協会は、こうした対話を通して、学生が自分の意思で進路を選び、長く働き続けられる環境づくりに取り組んでいきます。
一つひとつは小さな実践かもしれません。
しかし、その積み重ねが、保育業界全体の未来を支える土台になっていくと信じています。


