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企業コラボ対談~子ども達に夢を届ける~ | MARLMARL×東京児童協会
東京都内に24の認可保育園と認定こども園を運営する社会福祉法人 東京児童協会では、保育の現場と企業・識者がつながることで、子どもたちへより質の高い体験価値を与えることができると考えています。
今回は、10月に開催したMARLMARL×東京児童協会 “5歳児のデザイナー体験”について、株式会社Yom・MARLMARLの担当者である前島さんと、かさい発みらい行きほいくえんの山下先生、また東京児童協会の広報を務める有金さんの3人に、今回の企業コラボを通じて感じたことを語っていただきました。
目次
体験を通してデザイナーという仕事を知る
――今回のコラボ企画を開催してみてどうでしたか?
前島さん:すごく楽しかったです。お客さま向けにワークショップを開催したことはありますが、今回のように保育園でワークショップを開催したのは初めてでした。参加したメンバー全員が、「またやりたい!」と言っています。
山下先生:それはとてもうれしいです。子どもたちにお仕事について話すときは、どうしても子どもたちが知っているお仕事の話になってしまいます。デザイナーというお仕事について話す機会ってなかなかないので、今回のデザイナー体験は、知らないお仕事を知る良いきっかけになったと思います。
有金さん:東京児童協会が大切にしている4つの柱のひとつに、「夢を育む」があります。企業の方とコラボ企画を行う場合は、主に幼児向けにお仕事体験をつくっています。子どもたちが日常の「あそび」の延長線上に「かっこいいお仕事があるんだ」「かっこいいおとながいるんだ」と繋がりを感じてくれたらと思い、企業の方と一緒に企画を考えています。
山下先生:「まだまだみんなが知らないお仕事があるんだよ」ということが伝えられると、子どもたちの夢を広げるというところにつながりますよね。そのためにも、子どもたちに実践してもらい、その仕事内容に触れてもらうという体験はすごく効果的だと思います。
有金さん:幼少期のうちから、社会にはいろんなお仕事があることを知っていると、夢や可能性は確実に広がりますよね。
子どもたちへ“体験をする時間を提供”する
――コラボ企画の企業側のメリットについて教えてください。
前島さん:弊社の掲げるバリューのひとつに、「子どもの未来もギフトに」という言葉があります。これまではやや抽象的に感じていた言葉でしたが、今回のワークショップを通じて、私たち企業が子どもたちのためにできることのアプローチ手段が見えました。子どもたちに“体験をする時間を提供”したことで、未来の種まきに貢献できたんだなって。これはすごく価値のあることだったと思っています。
有金さん:そう言っていただけるとうれしいです。僕は、前職でいろいろな職業の方たちと子ども向けの体験イベントに携わってきました。多くの場合、企業の方が子どもたちが楽しんでいる姿を見て、「この仕事をやっていて良かったと思ったよ」と話して頂けるんですよね。
前島さん:わかります。今回、メッセージカードをデザインしたMARLMARLのプロダクトデザイナーとグラフィックデザイナーも参加したのですが、遊びや工作ではなく、「大切な人にプレゼントするものをデザインする」というお題を与えたことで、子どもたちに新しい概念、価値観が芽生え、その中からいろいろと考えている様子を見られたのがすごくよかったと話していました。
相手を思って作ったものをプレゼントするということ
――お仕事体験をした子どもたちの反応はどうでしたか?
山下先生:日常的に、絵を描いたり手紙を書いたりして保護者に何かを渡すのは慣れているはずなのに、今回は、渡す時に照れている子が多かったんです。中には、「恥ずかしいから渡したくない」と言う子もいました(笑)。“その人のため”と身構えて作ったからこそ、そんな反応が出たんだろうなと。「贈り物をするのってこんなドキドキするんだ!」ということが、子どもたちの中に強く残ったと思います。
前島さん:後日、子どもたちがご両親に渡しているときのお写真を送っていただいたじゃないですか。それを見て、もらったお母さんお父さんの気持ちになってみんなでウルウルしちゃいました。子育ての日々の中に、ちょっとしたワクワクみたいなものを届けられたかなと。
山下先生:体験して終わりではなく、それを誰かに渡すということころまで経験できたのはすごく良かったです。
前島さん:参加したメンバーも、誰かを思って考えて形にしていくというデザインのプロセスを提供できたと感じたと話していました。デザイナー体験というテーマにしてよかったと社内でも話していたんです。
有金さん:子どもたちに伝えるためには、削ぎ落として伝えるポイント絞ることをしなといけないじゃないですか。その作業の中で、自分がやっていることの大事なことが搾り出せてくると思うんです。企業コラボを続けている理由はそこにもあるので、前島さんと山下先生のお話を聞いて、今回の取り組みはすごくよかったと思いました。まさにこれが、東京児童協会の目指す保育の社会化です。
――これも保育の社会化のひとつのカタチですか?
有金さん:そうですね!保育園のスタッフだけでは提供できない体験を社会の様々な方と一緒に子どもたちに届けて行く。社会の方々が子どもたちの成長に関わる機会を作り出していくことも保育業界の大切な役割だと思うんですよね。
保育園のすごさを実感したスタッフたち
――参加されたスタッフの方たちのお仕事にも何か影響はありましたか?
前島さん:今回、積み木をパーツにしてフォトスタンドを作ったじゃないですか。大人は、平らな部分をボンドでつけると想定していたのに、実際はカーブの面をつけてみたり、「そんな風に作るんだ!」と驚かされることが多く、それぞれに個性を見せてくれました。実際に参加したデザイナーは、「デザイナーという職業だからこそ、固定観念を取っ払って日々考えているつもりだったけど、やっぱり子どもの発想はすごい、初心に戻れた」と感想をくれました。
有金さん:子どもって、本当に大人では考えつかないデザインを考えつきますよね。見ているこちら側も驚きの連続です。
山下先生:普段の工作では、ベースになる技法や形が決まっていて、その手段を経て作るのが前提になっています。でも今回は、お手本や技法ではなく純粋に“贈りもの”を作ったので、より子どもたちの個性が出る作品が仕上がったと思います。私たちも、普段の制作物より個性が見られておもしろかったです。
前島さん:先生方も、普段とは違うやり方をされるので大変だと思うのですが、普段とは違うことをするからこそ大切にしていることってあるんですか?
山下先生:成功体験で終わらせるということを大切にしています。大人と子どもの成功の価値観は違うので、子ども視点に合わせます。これまでもいろいろな企業さまとコラボしていますし、今後も続いていくと思うのですが、そこだけはすり合わせておくべきだなと思っています。
前島さん:私は、保育園に子どもを預けた保護者として、保育士さんたちのことをスーパーリスペクトを超えて、崇めたいぐらいの気持ちでいるんです。今回の交流は、たった2時間ほどでしたが私たちけっこうクタクタになったんです。全体を見渡さないといけないし、困っている子がいたらおいていくわけにはいかないし……。でも、先生たちはそれが毎日のことなわけですよね。本当に神!と思いました。子どもがいないスタッフも、参加したことで、「保育園ってすごいんですね」っていう気づきがあったようです。
私たちは「子育てにワクワクを!」とパーパスに掲げてベビー・キッズやペアレンツ向けのブランドを運営していますが、今回のコラボでまたひとつ新しい視点が加わり、本当にやってよかったなと感じています。ありがとうございました。
有金さん・山下先生:こちらこそ、ありがとうございました!
コラボ企業のご紹介
ギフトでつながるコミュニケーションの輪をつくる
「MARLMARL」は子育てにワクワクを届けるベビー&キッズギフトブランド。機能性とデザイン性を両立させたプロダクトや情報を通じ、子どもがいるライフスタイルを自由にデザインできる社会を目指しています。
保育園をより開かれた場にしたいという当法人の理念に共感頂き、各園に積み木「une blocks」のご寄付を頂きましたことをきっかけに今回の企画が実施される運びとなりました。
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こちらの取り組みが新聞に掲載されました!
「園児がギフト作り プロの仕事を体験(福祉新聞)」
https://fukushishimbun.com/series07/37348
MARLMARLのレポートはこちら
「MARLMARL初!保育園交流会を実施」